僕は君の名前を呼ぶ
「彩花ね、あんまり自分のことを言いたがらないの。中学生の頃に友達に『好きな人がいる』って相談したら、そのことを学年中に広められたみたいで。それがトラウマで秘密主義に…」
「へ、へぇ」
夏樹とのことか…。
多感な時期だし冷やかされたりもして、きっと傷ついたんだろう。
「彩花が青木を信じているとかいないとか、噂が広がる広がらないとかそういう次元じゃないの。とにかく自分のことは自分から言おうとしない子だから」
「うん」
「そういう子だからわかってあげて欲しい」
「…わかった」
それを考えると、彩花ちゃんが秘密を俺に話してくれたのは、一世一代の大決心で俺のことを信用してくれたんだよな。
彩花ちゃんの気持ち、大切にしなきゃ。