僕は君の名前を呼ぶ
「じゃあね」
「また明日」
俺は朝の集合場所で彩花ちゃんと別れ、地元に向かった。
「…あ。」
「あ?よっす、海斗」
ここへ来れば間違いなく会ってしまうから仕方ないけど、一対一で接触するのは避けたかった。
「夏樹くんさ、その相手を威嚇するよーな反応やめたら」
「そっちこそ、俺のこと“夏樹くん”って呼ぶのやめたら。さぶいぼ出るんだけど」
「………」
「………」
「「プッ、ハハハハ」」
おかしなやり取りに笑ってしまった。
「お前らうるさい」
先生にふたりまとめて注意されたけど、それさえ笑える俺は何なのだろうか。
「海斗のご機嫌ナナメがまだ続いてたらどうしようかと思った」
「へ?」
「言っただろ?『“吉報”待ってる』って。で、どうだったの?俺に報告は?」
「…お前、全部わかっててあんなこと言ったのか?」