僕は君の名前を呼ぶ
俺のことをハメたとしか思えない夏樹の言動にイラついた。
「彩花と一緒にいるとこを見られたのは予定外だったけどな」
「予定外って何だよ。学校にいればいくらでも見る可能性はあるだろ」
「まあそんなカッカすんなよ。むしろ俺に感謝しろ」
「は」
何で俺が夏樹に感謝なんかしなきゃならないんだ。
「お前が『終わりにしたのか』って言うからちゃんと終わりにしてきたんだろーが」
「へ?」
「文化祭の前に彩花に告ったんだよ。で、ちゃんとフラれてきた」
「なんか…ゴメン」
俺が夏樹から彩花ちゃんを“奪った”って表現が似合う気がする。
罪悪感半端ねぇ…。
「あ、勘違いすんなよ?俺はお前に彩花を譲ったわけじゃないし、単純に彩花の恋を応援しただけだから」