僕は君の名前を呼ぶ
「好きなんじゃねーの? あの子のこと」
「いつ俺がそんなこと言ったか?」
好きか嫌いかで言ったら好きだし、少し気になってはいる。
でもそれは恋愛の意味じゃなくて、彼女が笑わなくなった理由が気になっているだけだ。…多分。
「だってよ、お前入学式にかわいい子見つけたって言って、ぼんやりうっとりしてたじゃん。あれは恋をしているとしか思えない」
「違う違う」
俺は大袈裟に手を振って否定した。
「高校生活残り1年だぜ? 彼女でも作ってエンジョイしようよ!」
…あのなあ。