僕は君の名前を呼ぶ
「なあなあ、俺らで写真撮ろうぜ!」
卒園式が終わりクラスも解散し、教室の生徒もまばらになると隆太がそう提案した。
「いいねいいね」と賛成する彩花ちゃんと渡辺。
「どこで撮る~?」とワイワイしている3人を見ながら通学に使っている少し色の褪せたカバンを漁った。
「これで撮ろう」
「ん、カメラ?」
「ちょっと古いタイプのだけどな。でも、よく撮れるカメラだから」
俺が取りだしたのは、中学生の頃に父親から譲ってもらったフィルム式のカメラ。
父親が若かったときに趣味で使っていたものらしいのだが、兄貴はいらないと言ったため俺にまわってきたのだ。
部活で忙しかったり、フィルム式というのが恥ずかしくて外へ持って行けず、あまり使うこともなく長い間押し入れにしまいこんであったのだ。