僕は君の名前を呼ぶ
「もう、篠田は最後までそうなんだからー…」
渡辺は半ばあきれたように言ったがそれでも楽しそうに見えた。
「海斗くん。現像お願いね」
「おう、ちゃんと3人の分焼き増ししておくから」
隆太には春休みに遊ぶときにでも渡して、渡辺には彩花ちゃんを通して渡してもらおう。
「隆太ー!帰ろうよぉー」
遠くで誰かが隆太のことを呼んだ。
「おー、桃子!わりぃ」
声の主は桃子ちゃん。
語尾の伸びたしゃべり方は相変わらずだ。
「じゃあ俺、帰るな。橘、元気でやってけよ?海斗の扱いに困ったらいつでも連絡して」
「ちょ、隆太っ!」
なんだよ、俺の扱いって。
「あは、そうする」
彩花ちゃんはこんなこと言ってるし。
「じゃあな!」
そう言って隆太は帰ってしまった。