僕は君の名前を呼ぶ


「そうだったんだね」


「ん。それで3年生になって同じクラスになって。でも彩花ちゃん、そのときみたいに笑ってなくて


「…え?」


きっと彩花ちゃんは義理のお父さんのことで心に傷を負ってから、自分でも気づかないうちに笑うことを忘れてしまっていたんだ。


「2年前の笑顔がみたいなあ。もし願いが叶うなら、俺の隣で笑って欲しいなあって。そして今に至るって感じ」


「途中はしょりすぎじゃない?」


「そうだけど、さ。言う必要なくない?3年生になってからは時間を共有してたんだし」


「そうだね」


笑顔で彩花ちゃんは言った。


「これからは時間を共有するのは難しくなるけど、終わりじゃないから。終わらないし、終わらせないから。」


「うん」


< 276 / 419 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop