僕は君の名前を呼ぶ
「そうだったんだね」
「ん。それで3年生になって同じクラスになって。でも彩花ちゃん、そのときみたいに笑ってなくて
「…え?」
きっと彩花ちゃんは義理のお父さんのことで心に傷を負ってから、自分でも気づかないうちに笑うことを忘れてしまっていたんだ。
「2年前の笑顔がみたいなあ。もし願いが叶うなら、俺の隣で笑って欲しいなあって。そして今に至るって感じ」
「途中はしょりすぎじゃない?」
「そうだけど、さ。言う必要なくない?3年生になってからは時間を共有してたんだし」
「そうだね」
笑顔で彩花ちゃんは言った。
「これからは時間を共有するのは難しくなるけど、終わりじゃないから。終わらないし、終わらせないから。」
「うん」