僕は君の名前を呼ぶ


俺は彼女の小さな顔を両手で包み、ポロポロとこぼれる涙をぬぐった。


そして、触れるだけのキス。


ああ、ほら。
こんなにも幸せだ。


その証拠に、心がこんなにあたたかい。


そんなことを思っていると、彩花ちゃんの顔がこっちに近づいてきた。


「キスされるんだ」


なぜかそう考える余裕があった。


目をつむると唇に感じた柔らかなぬくもり。


彼女からしてきた、初めてのキスだった。


「…照れる」


彩花ちゃんはボソッと声を漏らした。


「俺の方が照れるから」


彩花ちゃんと手を握るのはようやく慣れてきたけど、キスはまだ慣れない。


心臓が口から飛び出るんじゃないかと思えるくらいドキドキが止まらなくてキスのあとは決まってクラクラするんだ。


俺はとっくに、君に酔っている。


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