僕は君の名前を呼ぶ


「もうひとつ、プレゼントがあるんだけど。いい?」


そう言うと彩花ちゃんは真っ赤な顔をしてうなずいた。


「これ、なんだけど」


俺が彩花ちゃんに渡したのは、文化祭のプラネタリウムで使ったフィルム。


俺が勝手に穴をひとつ空けたフィルム。


「委員長にお願いして譲ってもらったんだ。よかったら彩花ちゃんがもらってくれない?」


「いいの?」


「うん。当たり前だろ。彩花ちゃんだからもらって欲しいんだよ」


彩花ちゃんと俺を繋いだ大切なフィルムだ。


この空にその星は存在しないけど、“ここ”にはあるってことを忘れないで欲しいんだ。

空で瞬く星のように手の届かない存在だった君が、自分の隣で光っているなんて信じられないけれど。


俺は君の隣にいます。


俺は君の隣で君の道標になります。


僕は君の隣で、君の道標として、君の輝く未来を照らします。


そんな気持ちを込めて、渡した。


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