僕は君の名前を呼ぶ


「水くさいなあ。言ってくれたらいつでも構ってやったのに」


「就職も決まって結構暇なんだよ」と隆太は猫なで声を出した。


隆太はすでに就職を決め、大学の単位も十分なため4年生になってからはバイトや貧乏旅行に明け暮れているらしいのだ。


高校時代の彼女の桃子ちゃんとはとっくに別れて紆余曲折を経て今は独り身。


かなりゆるい生活をしているようだ。


「ってことで! 今日は傷心中の海斗のために、いっちょ遊びますか!?」


「いいね~!」


隆太の提案に夏樹も乗り気だ。


「でも…」


7月に大切な試験を控えている。


遊んでいる余裕はあまりない。


「試験のこと心配してんのか? どうせ海斗のことだからずっと根つめて勉強してたんだろ。その証拠に、ホラ」


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