僕は君の名前を呼ぶ


俺は朝に家を出発し、地元へ向かった。


ここから2時間半。何回か電車を乗り換える。


荷物は…最低限のものだけ。


これから彩花に会えるんだ。


胸も心がいっぱいになってしまうだろから、荷物くらいは…、なんてな。


変だな。


俺、こんなにクサいことなんて言うキャラじゃなかったのにな。


でもそれは幸せだから。離ればなれだけど、彩花が隣にいるから。




しばらく電車に揺られると、ケータイが震えた。


彩花からの、メールだった。


《都と落ち合いました! 楽しんでくるね》


そうか。彩花は渡辺と遊ぶんだったよな。


何日も前から、『都と会える!』ってウキウキしてたっけ。


彩花から聞いたところによると、渡辺の彼氏のタクヤくんとはかなり順調なんだとか。


すごいラブラブなんだって。


このことを俺に話してくれたときの彩花は『ラブラブ、うらやましいなあ』と言った。


おいおい、彩花。


俺たち、こんなにラブラブなのに、何言ってんの?


お互い、照れ屋だからなかなか態度にはあらわれないけど。


心は通じ合っているってわかっているから。


俺なりのやり方で、彩花を愛していきたいな。




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