僕は君の名前を呼ぶ


夕食と風呂を済ませ、俺の部屋で彩花とまったりタイム。


俺はカバンから取り出したカメラを隣にいる彩花に向けていた。


ファインダー越しでもわかる、セクシーな、うなじ。


風呂上がりだから、なおさら。


「今、変なこと考えたでしょ?」


向こう側の世界にいる彩花がこっちを向いて言った。


カメラの中で、視線が絡む。


「あは、バレたぁ?」


さっきの彩花を真似る俺。


「今日はそういうのナシだからね~?」


「わかってるよ」




彩花と俺が初めて一つになったのは、高校卒業後の春休み。


そう。彩花がここを発つ前に海で一日をすごした日のこと。


好きな人と初めて交わる喜びを噛みしめながら、ふたりして泣いたっけ。


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