僕は君の名前を呼ぶ
「海斗、星見たい」
「いいよ。見よっか」
部屋の窓を全開にして空を見上げる。
東京までとは言わないけど、なかなかいい勝負をしている。
星が、あまり見えない。
「全然出てないね、星…」
「だな…。N県の星は、どう?」
ふたりを結んでくれた星が見えないのは、なんだかさみしい。
「空気が澄んでるから、めちゃめちゃキレイだよ。冬の星なんかもうサイコー! っておじさんが。わたし、冬のはまだ、見たことないから」
「いつか、見れるかな。ふたりで」
「見よう、絶対」
「ほら、約束」と言って、俺に小指を向ける彩花。
俺は彩花の小指に自分のそれを絡ませた。