僕は君の名前を呼ぶ
「海斗…?」
「ん?」
クーラーのきいた部屋。
時々目を合わせて。
時々、キスをして。
ただただ時が経つのを待っていた俺たち。
昼を少し過ぎたころ、隣にいる彩花が口を開いた。
「わたしね、幸せだよ」
俺は次の言葉を待った。
「会えないのは、さみしい。
けどね、そのさみしさが会えたときの幸せにつながるんだと思えば、へっちゃらよ」
「彩花…」
「海斗の幸せはわたしの幸せ。
わたしの幸せは海斗の幸せ。
それなら、わたしは海斗を愛したいの」
「俺も、彩花を愛すよ」
離ればなれなのが不幸なわけじゃない。
離ればなれだから愛せないわけじゃない。
だから俺は、君の幸せのために君を愛すんだ。
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