僕は君の名前を呼ぶ
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「海斗、酔ってんの?」
俺の目の前で首をかしげるのは、彩花──じゃなくて、夏樹。
酔ってないし。そこまでまだ飲んでないし。
どうやら俺は3年前の夏に、思いを馳せていたようだ。
もう、目の前に彩花はいない。
「海斗が幸せそうだと何か安心するよな」
「それは隆太が一人身だからじゃね?」
「チッ。ウルセーぞ、夏樹」
はぁ、勝手にやっててくれ…。
「海斗ってば、すーぐ表情に出るからな。良いことも悪いことも」
「ま、来年の今頃は幸せいっぱいで毎日ニコニコだな、海斗くん」
「ああ。」
あのときに誓った“輝く未来”はもうすぐそこまで来ている。
今を乗り越えれば、きっと、もっと、幸せになれる。
そんな気がするんだ。