僕は君の名前を呼ぶ
「サヨナラ、だね」
ポロポロと涙を流し続ける彩花をいとおしく思った。
「彩花。上見て」
夏の夜空に浮かぶ無数の星たち。
「サヨナラだけど、星は彩花を裏切らない。きっと俺のかわりに、彩花を見守ってくれるから」
「ふふ。そうやって、男らしくないところが海斗らしいね」
彩花は泣きながら俺に微笑んだ。
俺にとっての、彩花の最後の笑顔──。
サヨナラ、彩花。
どうか、笑っていて。
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肌にまとわりつく嫌な汗で目覚めた。
長かったようで、短かった夢。
体に残ったのは、ひたすらむなしさ。
いつもと変わらず動く時計が指したのは、午前3時。