僕は君の名前を呼ぶ
死んだ星
変わったのは俺だけで、世界は今日も変わらず回り続ける。
彩花と別れてから、夜空を見上げることが増えた。
東京の空は、とにかく狭い。
高層ビルが邪魔をして、デコボコな空しか見えない。星は、いわずもがな。
それなのに、なんでだろう。
前よりも夜空を見上げることが多くなったのは。
答えはきっと、
俺が未練がましく彩花との繋がりを求めているから、なんだろう。
彩花も同じ夜空を見ているだろうか。
なんて考える俺はサイテーだな。
星に願う資格なんてないのに。
自分から別れを切り出しておいて、願う資格があるわけない。
いつか彩花から聞いた、N県の夜空の美しさ。
『一緒に見ようね』と彩花とした約束。
結局、守れなかった。
一緒に北斗七星を見たかった。
もう叶うことのない、俺の夢。
別れたはずなのに、俺の頭の中は彩花ばかり。
どこで間違えたんだろうな、俺たちは。
彩花。
どうか俺のことは忘れてくれ。
思い出になんかしないで記憶から抹消してくれ。
星に願うことはできないけれど、
俺は遠くで君の幸せを祈っているから。