僕は君の名前を呼ぶ
俺は彼女の後頭部に手をまわしこっちに引き寄せ、乱暴にキスをした。
キスの合間に彼女は「カレーくさいけどいいの?」と言ったけど、俺は「そんなの、どうでもいいよ」と返した。
もう、いいよ。
どうにでもなってしまえよ。
行き場をなくした愛が里香先輩に向いただけで、彼女にはまったく興味がないことも。
自分のこと以上に俺と彩花のことを気にかけてくれていた、隆太と夏樹の存在も。
こんなことをしている今も、心が彩花が好きだと叫んでいることも。
愛のない行為をしていることも。
彩花以外の女をこうも簡単に抱けてしまうことも。
知らない。
知らない。
知らない。
すべてを無視して、見ぬふりをして、俺は彼女を抱いた。
彼女に堕ちていったんだ。