僕は君の名前を呼ぶ


彼女の白い肌を撫でた。


彩花の肌は雪のような白さだったが、彼女は例えるならユリのような白さ。


肩には、真っ赤なバラのタトゥーが咲いていた。


魅惑的な赤で誘き寄せ、鋭いトゲで相手を突き刺す。


里香先輩が時々見せる、攻撃的な目と同じだと思った。


「痛そうだね」と言えば、「痛いと生きてるって思えるの」と彼女はつぶやいた。


そういえば彩花はいつかの映画で主人公が恋人の名前を体に彫ったのを見て、「わたしなら言葉で想いを伝えるのに」と言ったよな。


「自分の体を傷つける以外にも、生きてるって思える方法はあると思う」


「海斗がそばにいてくれるから、わたしは生きていけるんだよ」



「海斗に名前を呼んでもらうと『わたしはここにいる』って思えるの」


いつだって傷つけ傷つくのをひどく恐れていたよな。


それを、俺は平気で傷つけた。


他の女を抱いているのに、君のことで頭がいっぱいなのはすべてもの償い。


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