僕は君の名前を呼ぶ
とびきりスラップ
「う~。さみぃ」
吐く息が白くなる季節が来た。
俺はメガネをかけて、温かい布団から無理矢理出てストーブのスイッチを入れると、ストーブの前で寝転がり、身をきゅううっと小さくした。
「…はぁ」
ため息と共に覚醒してゆく意識。
俺はここ数ヶ月のことを思い出してみた。
季節が変わっても変わらない、俺と里香先輩の曖昧な関係。
時々、お互いの欲望を満たすために体を重ねる、それだけだった。
生産性も、意味もない行為をしているとは、わかっていた。
そんな曖昧な関係を終わらせようと思っても、終わらせられなかったのは俺が終わり方を知らなかったからだ。
どの形を持って“終わり”と言えるのかがわからなかったんだ。