僕は君の名前を呼ぶ



そうだよ。


順風満帆、とは言えなかったけど離れてからの3年間は辛抱に辛抱を重ねて、どうにか乗り越えてきたんだ。


向こうの雪が溶ける頃…春が来る。


あと一息だ。


「夏樹、サンキュ。強烈なビンタで目ぇ覚めた」


「ハハッ、お安いご用だ。なんなら、もう一発いくか?」


「遠慮しとくよ」


部屋には温かい空気が流れていた。


「彩花、許してくれるかな」


「簡単にはいかないだろ。でも、真摯に向き合えば、お前なら大丈夫だ」


こんな俺のことを、こういうふうに叱ってくれる友人は、きっと夏樹だけだろう。


俺と同じように胸を痛めて、
俺のために手を痛めて喝を入れてくれた。


また、逃げたくなったら、夏樹は今日みたいに叱ってくれるだろうか。


こんな俺でも、あきれずに親友をやってくれるだろうか。


そんなの、聞かなくてもわかってる。


ありがとうな、夏樹。


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