僕は君の名前を呼ぶ
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俺を叱り終えてしばらくすると、夏樹は「腹減った!」と叫び、俺がストックしていたスナック菓子を抱えてテレビの前を占領し出した。
俺の気持ちも知らずに、お笑い芸人が投下したギャグに「お前もまだまだだな」だなんて言って辛口な評価をしている。
夏樹が俺のウチに来ると大体こうだ。最高に勝手で、超ゴーイングマイウェイな行動をしやがる。
コイツがマイペースなのは、出会った頃から変わらない。
高校時代、夏樹と知り合ってすぐに予備校の授業の合間に公園で彩花のことを話して…。
そのとき、とんでもないタイミングで名前を聞かれたんだっけ。
さすがにそれにはビビったけど、夏樹の行動力はすごいと思う。
他人を寄せ付けずに本能的に目的にまっすぐ突き進む。
本人は意識していないんだろうけど、夏樹は他人の意見に左右されず、最後まで自分を貫ける強い芯を持っている。
マイペースだけど、自分の行動に責任を持たないわけじゃない。
真面目で誠実で……男の俺が少し憧れるくらいだ。
でもやっぱり、我が道を行くタイプの人間だから俺も振り回されたりもするんだけれど。
それが夏樹らしい。それがなきゃ、夏樹じゃない。
そんな夏樹に俺は何度も助けられた。