僕は君の名前を呼ぶ
夏樹もタクヤくんも、そして彩花も同じ中学出身か。
なるほど。付き合いは長いってわけか。
「よかったら4人でご飯しない? 朝イチで地元出てきたから、わたしもうお腹ペコペコで」
「いいんじゃない!? な? 海斗」
「あ、あぁ」
渡辺から何を言われるかは、だいたい見当がつく。
何せ渡辺と彩花は大の親友だからな。
彩花のことで、ボロクソ言われるだろうから本当は断りたいところなのだが…。
そう言われて当然のことをしたんだ、俺は。
これで完全に焼き肉は回避できそうだから、夏樹には悪いがこのくらいいいだろう。
──…で。何でこんなことに?
「ハァ…」
俺は自宅のキッチンに立ち、ため息と一緒に溶き卵をフライパンに落とした。
あの後、夏樹が話をどんどん進め、なぜか我が家で食事をとることになっていた。
そして俺は今、4人分のオムライスを作っているところだ。
残りの3人は、向こうで思い出話に花を咲かせているようで、時より笑い声がこちらまで飛んでくる。