僕は君の名前を呼ぶ
悪いのは、里香先輩じゃない。
悪いのは、弱い俺だ。
「里香先輩、ふたりで会うのは今日で最後にしましょう」
「…そうね。それを言おうと思って今日は海斗くんを呼んだの」
「剣人さんと幸せになってください」
「別れてから1年近く経ったけど、大丈夫かな」
彼女には珍しく、弱気な発言。
「今聞いた話だけでもわかりました。ふたりが強く想い合っているって。必ず俺を式に呼んでください。絶対ですよ?」
「ふふ。海斗くんも彩花ちゃんと、ね。」
君と離れて他の女性知ることで、君の大きさを認識するなんて皮肉だ。
…皮肉だけど、やっぱり俺には君しかだめなんだ。
君のいない日々では、君を失った世界では、俺はまっすぐには生きて行けない。
俺は君しか愛せない。
君だけを愛しぬくから、もう、弱くてサイテーな自分にはサヨナラだ。
俺のことを許して欲しいなんて、甘いこと言わない。
だからどうか、もう一度だけ、受け入れて。
受け入れてくれるのなら、また俺と同じ時(トキ)を刻もう。