僕は君の名前を呼ぶ


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「わああっ! スゲー!!」




キラキラ光る一面の銀世界に、年甲斐もなく感嘆の声をあげてしまった。




あの後、大きなカバンを肩に掛けた彩花に突然腕を引かれ行き先も知らされずに、俺はここに連れてこられたのだ。


カバン正体は、まだ聞けていないけれど。


一面に広がる雪景色を見られるここは、地元の人しか知らないところなのだそうだ。


「下宿のおじさんに聞いたんだ。内緒ね」と、口の前に人差し指を当てて言った彩花を見て、めちゃくちゃかわいいと思ったのは内緒だ。




「やっと、だね」


「ああ、やっとだ。やっと、ふたりで見られたな」




夢にまで見たこの光景。


こんなサラサラな雪は、絶対に東京じゃ見ることはできないだろう。


真っ白で、キラキラで。


寒いけれど、温かい。


矛盾する言葉たちが頭の中に並べられ、不思議な気持ちになる。




「これから一緒にたくさん思い出作ろうな」


「そうだね。別れてた間の分も、ね」


「うん。そうだ、別れてた間…どうしてた?」


密かにずっと気になっていたこと。


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