僕は君の名前を呼ぶ

「青木くんは、気がきくんだね」


橘さんから思いがけない一言。


「当然のことをしたまでだよ。隣が隆太だったら、多分こんなことしないし」


冗談まじりにこう言うと橘さんはクスクス笑った。




金曜日だけの俺にとって特別な時間…。


ついちょっと前までの俺は君の名前さえ知らなかったただの高校生だったのに。

ここ数週間で俺は非凡な生活を手に入れた。



満たされているのは俺だけで、彼女にとっては迷惑なんじゃないかと考えると、
俺の存在なんてちっぽけなものだと思えてくる。




彼女が笑顔を取り戻す日は近づいているのだろうか────