僕は君の名前を呼ぶ


「俺は…どうすればいい?」


「話を、聞いて欲しいの」


「俺でいいの?」


そう聞くと橘さんは首を縦に何回か振った。


下校時刻まで、まだ少しある。教室に行こう。


放課後の教室は静かだった。

高校に入ってから部活動に所属していない帰宅部の俺にとって、この感じに懐かしく感じた。


橘さんは自分の席──つまり廊下側の一番前の席に座り、俺はその隣に座ることにした。


「きっと何かあったんだよね?時間気にしないで、ゆっくりでいいから話して」


なるべく柔らかい口調を心がけて優しく言った。


< 53 / 419 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop