僕は君の名前を呼ぶ
「俺は…どうすればいい?」
「話を、聞いて欲しいの」
「俺でいいの?」
そう聞くと橘さんは首を縦に何回か振った。
下校時刻まで、まだ少しある。教室に行こう。
放課後の教室は静かだった。
高校に入ってから部活動に所属していない帰宅部の俺にとって、この感じに懐かしく感じた。
橘さんは自分の席──つまり廊下側の一番前の席に座り、俺はその隣に座ることにした。
「きっと何かあったんだよね?時間気にしないで、ゆっくりでいいから話して」
なるべく柔らかい口調を心がけて優しく言った。