僕は君の名前を呼ぶ


「この話を聞いても…軽蔑しないで欲しいの」


「うん」


“軽蔑”という言葉に、不安を感じた。

俺はどんな君でも受け入れられる自信はあるけれど、心の闇を覗くのに少し怖いと思えた。


そんなことを考えているうちに彼女の目はみるみる赤くなっていく。


「家庭内、暴力…?」


俺がそう言うと、彼女はゆっくり一度だけうなずいた。


俺が聞いた話は、本当にひどいものだった。


最初に暴力を受けたのは、去年、つまり高校2年生のとき。


中学2年生のときに母親が再婚して連れてきた男に暴力を受けたそうだ。


服で隠れるところばかりを狙うから、母親に訴えることも気づかれることもなかったらしい。


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