僕は君の名前を呼ぶ
表情が見えないからなんとも言えないし、もしかしたら4月に見た影のある笑いだったのかもしれない。
けれど、これは一歩前進だ。
「今日からは、お互い遠慮なしに呼び捨てで」
《そうだね、今日は色々ありがと。じゃあ、また来週。おやすみなさい》
もう終わりなのか、電話を切るのが惜しいなあ。
「うん、おやすみ」
「…ッシャー!!!!」
俺は遅い時間なのに声を上げてガッツポーズをした。
彼女から電話が掛かってきたのも、お互い(名字だけど)呼び捨てで呼び会えることになったのも、嬉しい。
けどそれ以上に彼女の笑顔がまた見れる日が近づいているかもしれないということの方が嬉しくて嬉しくて仕方がない。
焦ってはいけないけれど、早く彼女の笑顔が見たいんだ。