僕は君の名前を呼ぶ


でも今は大学行くのにお金かかかるってわかってるから、一人暮らししたいなんてわがまま言えないよなあ。


「なんだ、お前。まだ進路のこと考えてないのか?」


「考えてないことはないんだけど…」


そう。

考えてないことはない。


やってみたい仕事なら色々あるがどれもピンと来ないのだ。


「お前文系だろ~。んあ、でも理系もちょっとイケるんだっけ。うーん…」


ご飯を頬張りながら考える兄貴。


焼き鮭を口に詰め込みながら話すから、時々唾なんかが飛んでいる。


きたねぇなあ。


真剣にやってるんだか、やってないんだか。


「んー。学校の先生、とかは?」


「俺、人にもの教えるの向いてないと思う」


時々隆太に勉強を教えるがそのたびに「お前の教え方わかりにくい!」って怒られるんだ。


「バカヤロー!そんなのやる気があればどうにでもなるんだよ!教育実習もあるんだし」


先生、かあ…。


ちょっといいかも。


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