僕は君の名前を呼ぶ
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「おはよう、橘」
「青木、おはよ」
梅雨明け間近の6月下旬だというのに、席替えのタイミングを逃した俺のクラスの座席の順番は未だに出席番号のままだった。
廊下側の一番前に座る橘に声を掛ける。
「そろそろ、席替えしたいところだな」
「そうだね。わたしも一番前はもう嫌だな」
「海斗、橘、おはよー」
俺たちの会話が一区切りされたとき、ちょうど隆太が教室に入って来た。
「「おはよう」」