僕は君の名前を呼ぶ
「何なに?何の話してたの?」
「いや、席替えしたいなって。隆太、いつすると思う?」
「まさかの、今日だったりして!」
人差し指を立てて、隆太は自信があるように言った。
こういうときの隆太の直感は当たったりする。
本人いわく、インスピレーションらしい。
すると次のとき。
「おーい、席つけー。席替えすんぞ」
ドカドカと教室に入り、高らかに宣言した担任。
侮れないな、インスピレーションというヤツは。
「篠田、当たったね」
体を左右に揺らして嬉しそうにする橘。
…かわいい。
サラサラの長い髪がそのたびに揺れた。
「そうだな」