僕は君の名前を呼ぶ
不安を消して
風呂に入って冷えた体を温め、そろそろ寝ようと思っていた頃、俺のケータイが震えた。
《橘 彩花》
……!
何だか嫌な予感がする。
「もしもしっ」
《……けて、》
「おいっ!橘!?」
《助けて…》
嫌な予感が当たってしまった。
彼女が発した声は震えていた。
「どこにいる?」
《家の近くの公園…》
「わかった、すぐ行く!」
外はまだ雨が降っている。
「母さん、風呂追い焚き!それから何かあったかいもの!」
それだけ言うと、タオルと傘を持って家を飛び出した。
母さんの心配する声が聞こえたが、それどころじゃない。