[完]Dear…~愛のうた~
実彩の体を持ち上げると
実彩は意識を飛ばしていた。
「実彩!!実彩!!」
話しかけて揺すってみても何も反応がない。
ただ、実彩と俺から流れ落ちる水滴が
何かを知らせるように
ポタポタと落ちているだけだった。
海面を見てみると大きく明るい満月が
夜の暗闇を少しだけ照らしてくれていた。
___________
実彩を抱え、近くの海岸で服を絞る。
そして車から出したタオルでそっと実彩の体を拭くと、
ピクッと体が反応した。
そんな実彩が心配になって、軽く前髪に触ると
「隆、弘……」
苦しそうに俺を呼んだ。
実彩は何を思っているのだろうか……
いや、何かに捕らわれたんだろうか……
それとも……
「何か、悪い夢でも見たんだろうか……」
そんなことを考えているうちに
辺りはすっかり明るくなっていた。
実彩に触れるとまだ濡れていて、少し寒そうだ。
そんな実彩を抱えて車に乗せ、タオルケットを巻く。
そして、俺が運転席に乗ろうと思った瞬間……
「あの!!」
聞いたことあるような声が耳をかすめた。
いや、絶対聞いたことがある声だった。
だって、その声に体が反応した。
でも、何でこの時振り向いてしまったんだろう……
傷つき、傷つけることをわかっていたのに……
ゆっくり振り返ると、
そこには前と変わらない笑顔があった。
「やっぱり、隆じゃん……」
涙目で俺を見る彼女は実彩ではない。
「会いたかった……」
そう言ってそのまま俺に抱きつく。
実彩とは違う……
小さくて、実彩よりがっちりとしている。
そして、過去を思い出してしまう。
「麗(うらら)……」
実彩は意識を飛ばしていた。
「実彩!!実彩!!」
話しかけて揺すってみても何も反応がない。
ただ、実彩と俺から流れ落ちる水滴が
何かを知らせるように
ポタポタと落ちているだけだった。
海面を見てみると大きく明るい満月が
夜の暗闇を少しだけ照らしてくれていた。
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実彩を抱え、近くの海岸で服を絞る。
そして車から出したタオルでそっと実彩の体を拭くと、
ピクッと体が反応した。
そんな実彩が心配になって、軽く前髪に触ると
「隆、弘……」
苦しそうに俺を呼んだ。
実彩は何を思っているのだろうか……
いや、何かに捕らわれたんだろうか……
それとも……
「何か、悪い夢でも見たんだろうか……」
そんなことを考えているうちに
辺りはすっかり明るくなっていた。
実彩に触れるとまだ濡れていて、少し寒そうだ。
そんな実彩を抱えて車に乗せ、タオルケットを巻く。
そして、俺が運転席に乗ろうと思った瞬間……
「あの!!」
聞いたことあるような声が耳をかすめた。
いや、絶対聞いたことがある声だった。
だって、その声に体が反応した。
でも、何でこの時振り向いてしまったんだろう……
傷つき、傷つけることをわかっていたのに……
ゆっくり振り返ると、
そこには前と変わらない笑顔があった。
「やっぱり、隆じゃん……」
涙目で俺を見る彼女は実彩ではない。
「会いたかった……」
そう言ってそのまま俺に抱きつく。
実彩とは違う……
小さくて、実彩よりがっちりとしている。
そして、過去を思い出してしまう。
「麗(うらら)……」