[完]Dear…~愛のうた~
「だから、実彩ちゃんを守る人がいないとダメなんだ。
それで、余ってるのは俺だけだ。
俺が、実彩ちゃんがいくら嫌がっても
そばにいさせて、守ってやるから」

また拳を握る。

今度は爪の跡がくっきりと残るくらい……

いくら光だと言っても信用出来ない。

もし、本当に今は何とも思ってなくても
二人がそばにいると、
いずれ恋愛感情が出てくるかもしれない。

光だけじゃなくて、実彩にも……

そんなことを考えている自分も悔しい、憎い。

だけど、今俺が実彩を幸せにすることは不可能だ。

これは言い切れる。

俺達は、一度距離を置かないと、
自分が自分でいなくなる。

どうやら、ここは光を頼るしかなさそうだ……

「光」
「どした?」

しっかりと光の目を見る。

「実彩を頼む、幸せにしてやってくれ」
「は?俺まだそんなこと言って「俺が完全に復活するまで……
実彩のことを泣かせないでくれ。
頼む、これだけは約束してくれ」

俺がそばにいなくても、実彩は笑っていて欲しい。

「……わかった、その代わり早く復活してくれ。
全力で、リハビリするからよ」

光の輝かしい笑顔が窓から入ってくる
太陽の光でさらに輝いた。

ただ、これだけはさせねぇ。

絶対、実彩のことを好きになるなよ……

眼差しでそう伝えながらも俺は再び窓に顔を向けた。

「お前がいなくて、実彩ちゃんが泣かない訳ねーだろ」
「俺だと、毎日泣かれるって」

なんて真司と光が話してるなんて知らずに……

________
< 151 / 207 >

この作品をシェア

pagetop