[完]Dear…~愛のうた~
「ん……」

目を開けると眩しい白い光が俺の目を刺激する。

「起きた?」

懐かしい声で目を覚ますとそこには……

「……え?」
「ごめんね、勝手に来ちゃった」

そう言ってニッコリ笑う。

「いや、いいけど……何で?」

俺は凄い緊張している。

一歩外れると何するかわからない。

それくらい冷静になることは難しかった。

「ちょっとさ、話したいことがあって……」

そうやって、また俺を惑わす。

そうだよな、実彩……

「私、さっき光に告白されたの」

実彩は少し視線を下に落とした。

「それで、言われたの。
これは辻も認めたことなんだって」

実彩の目を見ると瞳は凄い揺れていた。

「隆弘、本当にそう言ったの?」

そんな顔、しないで欲しい。

そんな顔されたら、俺は何も言えない。

心で決めたのに、口から全く言葉が出て来ない。

「隆弘、答えて……?」

弱々しい声にも答えられない。

このまま抱きしめたいのに、体が全く動かない。

俺には、もう実彩を見ることは出来ない……

「ごめん……」

俺はやっとの思いで言葉を発した。

「……何で?
私のこと、嫌いになった?
怪我したから?腕に障害持ったから?
私が、酷いこと言ったから……?」

実彩の声は震えていて、
恐らく泣いていることもわかる。

「それとも……麗さんに、会ったから?」

その言葉でハッとして実彩を見る。

実彩は予想通り大量の涙をこぼしていて
痙攣している腕をキュッと握りしめている。

「私より麗さんのほうが大事なことはわかってる。
けど「違げーよ!!」

思わず大声で実彩の声を遮る。

すると、実彩は少し体を反応させた。

「はっきり言ってもう麗なんてどうでもいい。
けど、もう俺には実彩を守れない」

すると実彩はそのまま視線を落とした。

「それって……私が光を好きになれってこと……?」

その言葉を聞く為にこんなことをしたんじゃない。

ただ俺は……今のままじゃ何も出来ないんだ……


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