[完]Dear…~愛のうた~
“隆弘に話してなかったよね、過去のこと”
その文字に大きく目を見開く。
たしかに聞いたことはなかった。
けれど……
「聞いていいの?
また思い出すんじゃ……」
そう言いかけると実彩は俺の腕を力強く握った。
細い腕なのに、凄い力を持っている。
まるで、何かを握り潰すくらいの……
“聞いて?聞いて欲しいの”
実彩は俺の顔を見て
何かを決意したような顔をした。
「本当に、いいの?」
その話は、杏ちゃんとゆかりんしか知らない。
俺に話せなかった事実を、
今このタイミングで聞くんだろうか。
俺は少し戸惑った。
けれど、実彩の真剣な眼差しと大きな頷きで
俺は実彩の壮大な過去を初めて目にした。
______
いつの間にか話終わると
実彩は体を俺に傾けていた。
そして、その体からは
小さな振動が感じられた。
「ごめん、思い出したよな?」
実彩は大きく首を振って俺の体に手を回す。
俺もそれに応えるように腕を回すと
実彩は顔をうずめて再び涙をこぼした。
実彩の話を聞いて
俺はどうしようもなく実彩を愛おしいと思った。
おかしいかもしれない。
恋人の過去を聞いて愛おしいと感じるなんて。
けれど、俺は違うんだ。
何だか全てがわかった気がした。
今まで話してくれなかったことを
実彩は俺に心を開いて話してくれたから。
大きな壁が一瞬でなくなった気がした。
実彩はしばらくして体を離し、
再びホワイトボードを俺に見せた。
“あれで襲われなかったのは一つの奇跡だって。
そう杏奈が言ってた”
たしかに実彩はその後何もされなかったが、
大きな傷は今でも残っているはずだ。
“だからね、あの日から素直になれなくなったの。
素直になったら何かがなくなっちゃう気して”
だから実彩は俺に嫉妬も出来なくなった。
“だけど、隆弘に出会ってそるなのなくなった。
逆に、素直になれないのが苦痛になったの”
そう言ってもらえて凄く嬉しい。
実彩を変えたのが俺だって言ってるような気がして。
けれど、それは一瞬にして破られた。
“でも、今は隆弘に会うのがつらいの”
その文字に大きく目を見開く。
たしかに聞いたことはなかった。
けれど……
「聞いていいの?
また思い出すんじゃ……」
そう言いかけると実彩は俺の腕を力強く握った。
細い腕なのに、凄い力を持っている。
まるで、何かを握り潰すくらいの……
“聞いて?聞いて欲しいの”
実彩は俺の顔を見て
何かを決意したような顔をした。
「本当に、いいの?」
その話は、杏ちゃんとゆかりんしか知らない。
俺に話せなかった事実を、
今このタイミングで聞くんだろうか。
俺は少し戸惑った。
けれど、実彩の真剣な眼差しと大きな頷きで
俺は実彩の壮大な過去を初めて目にした。
______
いつの間にか話終わると
実彩は体を俺に傾けていた。
そして、その体からは
小さな振動が感じられた。
「ごめん、思い出したよな?」
実彩は大きく首を振って俺の体に手を回す。
俺もそれに応えるように腕を回すと
実彩は顔をうずめて再び涙をこぼした。
実彩の話を聞いて
俺はどうしようもなく実彩を愛おしいと思った。
おかしいかもしれない。
恋人の過去を聞いて愛おしいと感じるなんて。
けれど、俺は違うんだ。
何だか全てがわかった気がした。
今まで話してくれなかったことを
実彩は俺に心を開いて話してくれたから。
大きな壁が一瞬でなくなった気がした。
実彩はしばらくして体を離し、
再びホワイトボードを俺に見せた。
“あれで襲われなかったのは一つの奇跡だって。
そう杏奈が言ってた”
たしかに実彩はその後何もされなかったが、
大きな傷は今でも残っているはずだ。
“だからね、あの日から素直になれなくなったの。
素直になったら何かがなくなっちゃう気して”
だから実彩は俺に嫉妬も出来なくなった。
“だけど、隆弘に出会ってそるなのなくなった。
逆に、素直になれないのが苦痛になったの”
そう言ってもらえて凄く嬉しい。
実彩を変えたのが俺だって言ってるような気がして。
けれど、それは一瞬にして破られた。
“でも、今は隆弘に会うのがつらいの”