[完]Dear…~愛のうた~
“顔を合わしたのはいつだっけ?”

実彩は挑発的な顔で俺を見る。

“覚えてるよ けれど僕はまだ何も知らなかった”

俺も実彩の顔を覗き込む。

“そんなことない 私達はきっと知っていたんだ”
“こういう出逢いをするって”
“だけど時は残酷でなかなか私達に幸せを与えてくれないの”
“でもその残酷さが時には何かを感じさせる力になるんだよ”
“私は信じるよ あなたを信じる”
“僕らはもう一人じゃないさ”
“互いの手を取り合って”
“僕らの未来は続いていく”

「……何か切ないね」
「これを歌にするのって難しいかもな」
「だね、あ、そうだ!!」

実彩は何かを思い出したように俺を見る。

「どうかした?」
「私達のことを書けばいいんだよ!!」
「……は?」
「だからChargeとPEACEのことを書けばいいの!!そしたらわかりやすくない!?」

実彩の提案に俺は大きく頷く。

「たしかに、そしたらみんな共感出来るかもな!!」
「でしょでしょー?きっとファンの方達も私達のことなんだなーって思うんじゃないかな!?」
「ま、とりあえず書いてみるか」

俺達はまたフレーズリレーを始めた。

“第一印象はおもしろそうな人”

実彩はまるであの日のことを思い出すように目を瞑る。

“噂で聞いていたけどやっぱり本物”

俺もあの日の興奮を形にしていく。

“最初は緊張したけれど”
“次第に僕らは笑い合っていたね”
“大切にしたいって思ったんだ”
“この出逢いに感謝して”
“私達の出逢いは偶然だっのかな?”
“いや、違う きっと神様が用意した必然だったんだよ”
“私夢があるんだ”
“僕にもあるさ”
“それはね?”
“僕らでみんなに“

そして俺達は一緒に同じフレーズを書いた。

““この唄を届けること””

「同じこと書いたね」
「あぁ、でもこれが一番傑作かも」
「そうだね、デビュー曲としてはいいかもね」

そうして俺達はあの仲良しコンビに歌詞を見せに行った。

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