[完]Dear…~愛のうた~
__________

「ごめん!!遅れた!!」
「ごめんなさい」

杏奈の後に続ける。

「遅いぞー、1分オーバー」

光がそんなことを言ってくる。

今日は曲が出来たからみんなにお広め。

「1分だけじゃん!!」
「いや、1分1秒無断にしては行けないぞ!!」
「今そこで喧嘩している時間のほうが無断やわ」

真司くんの鋭いツッコミで杏奈と光はパタンと喧嘩をやめる。

「じゃ、始めようかな」

直人の声で私達は一気に仕事モードに切り替える。

「じゃ、曲聞いてもらおうか?」

杏奈がいろいろとパソコンをいじって音楽が流れ出した。

今回はアップテンポの絆をイメージした曲。

音楽にはクラップやオリジナリティー溢れる小物が使われている。

もちろん詩は私達が作ったあんな感じ。

若干重たい詩が軽いテンポによって深みを出している。

______________

「いい曲だね」

秀の言葉にみんな頷く。

「でももっと歌う時は丁寧なおかつ軽く歌うといいかもな」

光の提案に杏奈はコンピューターに記録する。

「あと、もっと爽やかさが必要だね。ハモりももっと大きくしてレコーディングしないと男女混合の魅力が浮き出ない」
「あと、振りは簡単でファンの子も一緒に踊れるようなのがいいんやな。楽しげに」

みんな意見をどんどん出してくれるから参考になる。

きっとみんなも歌いやすいなってるだろうな。

「隆は?」

直人の言葉でみんなの注目が彼に止まる。

「え、あぁ。俺は作る側だから何も言うことねーよ?ただ、この曲に結構賭けてるってだけ」

そういうと彼はまたすぐ下を向いて真剣な顔をしていた。

……どうしたんだろ……

なぜか心配になる。

いつもはバカみたいにうるさくて笑ってるから……

「よし、じゃあ明後日までに振りを仕上げてちょうだい?今日はここまで。お疲れ様」

ゆかりんの声で一気に和やかになる。

でも私の視線はただ一つ……

彼にあった。

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