[完]Dear…~愛のうた~
私が彼の元に行こうとすると……

「実彩ちゃん!!今日暇?」

ハイテンションで光が私に聞いてきた。

「え?なんで?」
「今日みんなで飯食いに行こうかと思ってよ」
「あ、そういうことなら大丈夫。あ、でも遅くな「ガタンッ」

私が答えていると隆弘がいきなり立ち上がってドアを開けた。

「おい、辻まだキレてんのかよ」
「……うっせ」

光の呼びかけにもそう答えて彼は部屋を後にした。

「……どうかしたの?」

杏奈が不思議そうにみんなに聞く。

「あいつ今日機嫌悪いねん。何でか知らんけど。俺らが話し掛けてもあんな感じや。ほんまに気分悪いわ」

真司くんの言葉を耳にしながら私は隆弘が言った後のドアをジーッと眺めていた。

「それで実彩ちゃんなんて言っ「ごめん、ちょっと行ってくる」

光の言葉を遮って私は部屋を後にした。

私の頭の中は彼のことでいっぱいだ。

何も頭に入って来ない。

彼は今日一度も笑わなかった。

それが気になって気になって仕方ない。

わかってる。

他人のことに首を突っ込んだらいけないことなんて。

けれど、私は彼が気になって気になってしょうがない。

ーコンコン

私は隣のChargeの溜まり場のドアをノックした。

隣のミーティングルームで光がなんであいつなんだよ……と弱々しく呟いているのなんて知らずに……




< 46 / 207 >

この作品をシェア

pagetop