[完]Dear…~愛のうた~
ドアを開けると彼は目を丸くしてこちらを見た。

「どした?」

なんて言おう……

さすがに笑わなかったからなんて言えないよね……

「話したかったから……ダメだった?」

こうでも言っておこう。

「別にいいけど?」

隆弘は驚きながらも私を招き入れた。

だけどいつもと違う。

全く笑ってくれない。

私は特等席のおもちゃ箱に座りジーッと隆弘を見つめる。

隆弘は私になんか目もくれずにバイクの雑誌を見ている。

相変わらず綺麗な顔だなーなんて思っていると……

「話したいことあるんじゃないの?」

こっちを向いて迷惑そうに聞いてくる。

「いや、あの、そのーね?」

もう私は何言ってるんだ!!

ここは単刀直入に聞いたほうがいいよね?

「あのさ「実彩ってさ、光のこと好きなの?」
「……はい?」

聞こうと思ったのに逆に変なことを聞かれた。

光?なんで……?

その言葉がなぜか耳に響いた。

「どうしてそうなるの?」
「だってさっき光と楽しそうに喋ってたし、誘い断ってな「なんでそんなこと言うの?」

その言葉が胸に突き刺さった。

「え?」
「なんでそんなこと言うの?……私別に光のことそるなふうに見てないよ……」

なぜかわからないけど涙が出てきた。

隆弘にそんなふうに思われてたなんてショックだった。

「ごめん……」

隆弘は戸惑いながらも気まずそうに目を逸らした。

「じゃあ、私も聞くけど、何で隆弘今日笑ってくれないの?」
「……え?」
「いつもと違うよ……いつもうるさいくらいなのにやけに静かだし、まともに目を合わせてくれない。そんな隆弘が心配だよ……」

隆弘は一瞬こっちを見て口を開いたけれどためらって

「実彩には関係ないから」

そう言って再びバイク雑誌に目を向けた。

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