[完]Dear…~愛のうた~
「でも今の私達には……待ってる人がいるから……」

私達の唯一の支えは私達を応援してくれているファン。

そのファンからの物を失った杏奈は私以上につらいんだろう……

しかもその後にファンに会ってるんだから……私達は申し訳なさでいっぱい……。

「でもそのファンもあいつがいないと成り立たないんだよ……」

杏奈は冷めきった目で私を見る。

「……」
「結局私達だけじゃ何も出来ないんだよ……」

私達は何も出来ない……。

じゃあ私達は何のために生きてるの?

みんなに夢を与えるんじゃなかったの?

私達の歌を届けるんじゃないの?

私達がこの世界にいてどうするの?

ただのお邪魔虫だよ……。

「もう私達無理かもね……」

そう呟いた時……

ー♪~♪~

私達の曲が着メロとなっている私の携帯が鳴った。

ゆっくりと画面を見てみると……

“社長”

「え?社長……?」
「……え?」

私は不思議と思いながら急いで電話に出る。

「……はい」
<実彩?ごめんなさいね疲れてるのにこんな時間に>
「いえ、大丈夫です」
<近くに杏奈もいるかしら?>
「あ、いますけど……」
<申し訳ないけど杏奈と一緒に一度事務所に戻って来てちょうだい>
「……え?」
<詳しい話は来てから話すからなるべく早く来てちょうだい>
「わかりました……」

そういって電話は切れた。
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