[完]Dear…~愛のうた~
「もうあいつのことなんて誰かに消してもらってよ!!
実彩は隆のことが好きなんでしょ!?
いい加減素直になって、自分を認めて?」
「やめて!!」

呼吸が乱れてくる。

それでも杏奈はやめようとしない。

「素直になったら過去みたいにはならない!!
今の実彩なら絶対に大丈夫だから!!
自分を信じて?
もっとすぐ甘えて笑ってた実彩になってよ!!」
「いやぁ!!やめて……いや……いや……」

遂に私は何も考えれなくなる。

“もっと俺を好きになれよ?
めちゃくちゃにしてやるぞ?”

頭に浮かぶのは最悪な過去の出来事。

「みーちゃん!?」

異変に気づいたのかゆかりんは私を支える。

「いや!!やめて……やめて……」

そんなゆかりんももう受け入れれなくなって
振り払ってしまう。

「実彩!!過去にはもうとらわれないで!!」
「いやぁ!!」

頭を抱えてうずくまる。

「杏奈もうやめて!!
実彩を殺す気なの!?」

ゆかりんの怒鳴り声が部屋中に響き渡る。

“お前ウザイ。重すぎ。
消えてくんない?”

「いや……や……やめて……触らないで……」

頭が割れるくらい頭痛が激しくなる。

「ねぇ、実彩、もっと素直になって!!」
「杏奈!!いい加減にして!!」

“死んで?”

「いやぁーーーー!!」

私の視界は真っ暗になる。

体の力も抜けてバタッと倒れ込む。

「実彩!!」

最後に聞こえたのは……
私の大好きな……綺麗な声……

隆弘……

届かないこの声をどうにかしてでも
あなたに届けたい……

助けて……苦しいの……!!

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