[完]Dear…~愛のうた~
「実は~
私、今拓くんのことここに呼んだんだよね~」
「はぁ!?」

思わず大声をあげてしまう。

「だから、頑張って!!」

そう言った瞬間私の前には拓真がいた。

「じゃ~ね~」

嬉しそうに笑って萌は教室に戻って行った。

それから私は意を消して気持ちを伝えると……

「……マジ?俺も好き」

優しく笑って私を包み込んでくれた。

こうして、私達は恋人となったけど……

これが悲劇の始まりだった……



それから私達は学校公認のカップルとなり
恋人らしいこともたくさんした。

でも、一つだけ不安があって……

「ねぇ、拓くん今日カラオケ行かない?」
「うん、別にいいけど?」

あいつはとにかく女好き。

私なんかより
違う女の子と一緒にいる時間のほうが多かった。

それに伴って私は嫉妬が増えていき、
喧嘩もあった。

「どうして?
明日はデートって約束したじゃん」
「うっせーな、そんなもんいつだって出来るだろ?」
「私じゃない女の子と遊ぶのに?」
「……」

図星か……

「私より、違う女の子をとるんだね。
私達恋人なのに……酷いよ!!」
「恋人って……言っとくけど
俺はお前以外の女とはキスもしねぇ。
恋人らしいことしてるんだから
別にお前にどうこう言われる筋合いねーだろ?」
「何それ……
私だってレッスンの時間削って会ってるのに……
こっちの身にもなってよ!!」
「うるせーな、いっつもそればかし……
大体な、お前が歌手になんてなれる訳ねーだろ!?
そろそろ現実見ろよ」

いつもこうして喧嘩ばっかり。

私もそろそろ限界が来ていた。

そんなある日……

「実彩ごめ~ん、今日遊べなくなっちゃった~」

萌と遊ぶ約束をしていた私は
放課後そんなことを言われた。

「ん?何か用事入った?」
「そ~、先生に呼ばれちゃって~
ごめんね~?」
「そっか、じゃあ仕方ないね。
また今度遊ぼう?」
「うん!!」

なーんだ、つまんないの……

私はトボトボ歩きながら教室を出て行った。

「ふ、バーカ」

そんなふうに萌が呟いてるなんて知らずに。

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