[完]Dear…~愛のうた~
私は親に頼まれてスーパーに向かっている途中

「ダメだってば……」
「いいだろ、別に……」

小さな空き地から聞いたことあるような
声が聞こえた。

私は不思議に思ってその方向を見た時

「……!!」

見てはいけないものを見てしまった。

「何やってんの?」

私の体はなせが刻々と動いて
気づいたら二人の前に来ていた。

「あ?」
「ちょっと、今いいところなの。
邪魔しないでくれる?」

私に気づいてもそんなことを言う二人。

なんで……!?

「ねぇ、あんた私の友達にまで手出したの!?
本当に最低ね!!」
「あ?お前に関係ねーだろ?身の程知らずが」
「はぁ!?
どっちが身の程知らずなのよ!!
大体、萌は私の大切な友達って
あんたも「友達?笑わせないで」

私の声を遮ったのは今まで聞いたことのない
萌の低い声。

「……え?」
「私、いつあんたの友達なんて言った?
そんなふうに思ってくれてたのはありがたいけど」

もういつもの甘い声を出す萌の面影はどこにもない。

「大体、私があんたのことを友達なんて
一度も思ったことない。
私はただ……あんたを利用しただけ」
「利用……?」
「そ、まんまと引っかかって利用されるんだから
笑っちゃうわよね」

そう言って乱れた制服を直す萌。

「知ってた?
私ね、この学校に入る前から
拓とは付き合ってたの」
「……え?嘘……」
「嘘ついてると思う?
でもね、拓の隣にはいつもあんたがいた。
だからあんたを消す為に私はあんたに近づいた」

じゃあ、あの私に笑ってくれた笑顔は
偽物……?

「そしたらあんた、拓のことが好きだってね。
笑えたわ。だから計画したの。
本当に拓が愛してくれるのは私だけだって。
この日の為に今まで付き合ってたけど、
やっぱりあんたはバカね。
私はあなたが嫌いよ?」

その言葉にドクッと嫌な音が立った。
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