starting over
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彼女と付き合い始めて4ヶ月。
クリスマスやら、正月やら、アンサンブルコンテストやら、3年生の学期末試験やら……年度末進行に追いたてられ、気がつけば、あっという間に今年度の卒業生を送り出した。
「感慨深いですね。」
彼女、谷川ほのかは去年の3月に大学を卒業し、4月から高校図書室の司書教諭として働き始めた。
「そうだな。」
就職して10年目。何度目でも、感慨深さは変わらない。ひとつ降りた荷の重さが恋しくなる。楽にはなったけれども、心の中にすきま風がぴゅーぴゅー吹いてくる。
「3年間観てきた金沢先生ほどじゃないけど、やっぱり寂しいですね。」
「今年は特にかもな。」
「三送会、"Tomorrow never knows "よかったですね。」
「アイディアくれたほの…」
ウッカリ彼女の名前を言いそうになった俺に、彼女は俺のわき腹に軽くパンチを入れてきた。
「油断ならないです、金沢先生。」
クスクス笑いながら、図書室へと向かって走り去っていった。学校内では教諭として接する約束を、俺はしょっちゅう忘れそうになる。
たぶん、ほのと一緒にいると、それだけで気持ちがゆるんで、好きだという気持ちが先行してしまうのかもしれない。
クリスマスやら、正月やら、アンサンブルコンテストやら、3年生の学期末試験やら……年度末進行に追いたてられ、気がつけば、あっという間に今年度の卒業生を送り出した。
「感慨深いですね。」
彼女、谷川ほのかは去年の3月に大学を卒業し、4月から高校図書室の司書教諭として働き始めた。
「そうだな。」
就職して10年目。何度目でも、感慨深さは変わらない。ひとつ降りた荷の重さが恋しくなる。楽にはなったけれども、心の中にすきま風がぴゅーぴゅー吹いてくる。
「3年間観てきた金沢先生ほどじゃないけど、やっぱり寂しいですね。」
「今年は特にかもな。」
「三送会、"Tomorrow never knows "よかったですね。」
「アイディアくれたほの…」
ウッカリ彼女の名前を言いそうになった俺に、彼女は俺のわき腹に軽くパンチを入れてきた。
「油断ならないです、金沢先生。」
クスクス笑いながら、図書室へと向かって走り去っていった。学校内では教諭として接する約束を、俺はしょっちゅう忘れそうになる。
たぶん、ほのと一緒にいると、それだけで気持ちがゆるんで、好きだという気持ちが先行してしまうのかもしれない。
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