starting over
片思いをこじらせる。

戻れるポイントを見誤る。

要らぬところで才能発揮してしまう。

千葉を見ていると、昔の俺がそこにいる。違うのは、戻れるポイントが少なくて、片思いを思いの外こじらせて、チャレンジで受けた大学に受かってしまったことだ。

去年の春休み課題点検テストで、かなりいい点数出したんだったよな、アイツ。そこで志望校変更を考え出したんだったな。

問題集のページをめくりながら、そんなことを思い出した。Excelのグラフとにらめっこしながら、弱点強化と頻出問題とのバランスを考え、何とか目処をつけた。

PCを落として伸びをして、壁掛け時計を見ると、午前1時半を回ったとこだった。振り返ってローテーブルの方を見ると、新刊情報の最後の1冊を開いて、右手に蛍光ペンを持ったまま、ほのが寝オチていた。

高校時代の俺から、かなり成長したとは思うけれども、未だに子どもの部分が消えない。

触れたい。ほのに、触れたい。

後ろからふわっと抱き締めた。

「終わったから…今から…」

とろんとした視線を見たら、自分の欲望がしゅーっとしぼんで、休ませてあげたくなった。

手から蛍光ペンを取り上げ、新刊情報のページを閉じた。手を引いて、ベッドに入った。

「おやすみ、ほの。」

手をつないで、ふわっと触れるようにキスした。まぶたが落ちて、すうすうと寝息をたてて、彼女はすぐに寝てしまった。
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