後悔なんて、ひと欠片もない
毛布を頭から被り、私はベッドの中で返事をした。
クックックッ……
リノリウムの床を踏む音。
ガサガサ、とスニーカーを履く物音。
最後にバタン、と鉄の扉が閉まる。
和史(かずし)さんがいってしまった後、私はそろそろと毛布から顔を出す。
丸テーブルには、私のマグカップが置かれていて、白い湯気が立っていた。
今日は月曜日。
和史さんはいつも日曜日の夜、私の1DKのアパートに泊まり、月曜日の朝帰って行く。
家族に、どんな口実を使っているのかは知らない。
一旦、自宅に戻るのは、彼がジムに行く支度をするからだ。