後悔なんて、ひと欠片もない


でも、悠子も私も奥手で、性に関する話だけは微妙に避けた。


コイバナも、昔の片想いとか。
男は福山がいい、とか綾野がいい、とかそんな感じ。


そんな私達の合言葉は「お金がない」


悠子は親戚のうちに世話になっていたから、いつも私のアパートに来て愚痴を言いあった。



そう。貧乏学生の私達は、いつもピーピーしていた。


手に馴染む絵筆。外国製の絵の具。
質の良いカンバス。


それだけじゃない。


それをいれる可愛いケースやバッグなんかも欲しい。


仕送りだけじゃ足りない。


がっつりバイトしてしまえば、絵を描く時間が無くなるから、単発で出来る仕事を探しては小銭を稼いだ。




そして、大学2年になったばかりの春。




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