保健室の甘い時間
「美咲さん、今日来た人って同級生?」


なかなか話し出さない私に痺れを切らしたのか、吉岡先生が聞いて来る。

私と圭太の会話からわかったのだろう。


「うん」

「告白されていたの?」


吉岡先生は私をじっと見つめている。


「……お見合い相手」

「えっ?お見合いって断ったんじゃなかったの?」

「断ったんだけど……」


そう言って、私は俯く。

また黙ってしまった私に


「美咲さん、ちゃんとわかるように話して」


吉岡先生は私の手を取り、顔を覗き込む。


「……うん。あのね」


私が黙っていた事がこの気まずさの原因なんだけど、このままじゃいけない。

私は意を決意し、顔を上げる。


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